今回の研究では、北海道の施設のみを調査したのですが、思っていたよりも設備が完璧に整っているところはまだ数少ないようです。調査していく中で、「車イスガイドブック」というものを発行している市町村がまだまだ少ない印象を受けました。本の発行はしていても、Web上では公開されているものは少なく、本という媒体ではなく、これらをWeb上で閲覧できるようにすれば、市在住以外の人や本州からの観光客の方でも容易に情報を手に入れることができるのではと思いました。
また、車イス専用のトイレがあるにも関わらず、施設の玄関(入り口)には段差があるなど、不十分な点があるように思われました。我妻 武さんが連載している海外旅行の時のことを書いた記事を読むと海外では車イスであることを気にすることがないほど設備が整っているそうで、北海道もしくは日本の状態は諸外国に比べ、設備を強化しなければならないという課題が現状にあります。
しかし、車イスで出かけることで、周りの人たちが今まで気にしていなかった設備の盲点を初めて指摘し、知ることができると同時に、改善していくきっかけにもなると思うのです。したがって、設備が整っていないことへの不安を持つという消極的な考えではなく、自分が実際出向き、変えていくといった積極的な気持ちの方が、意義があり、出かける範囲も広まるのではないでしょうか。
一方、私たちは、「障害者=車イス」といった固定的な考え方をするのではなく、「段差があれば、誰でもつまずいて転倒する可能性がある」というような柔軟な考え方を持つ必要があると思うのです。
データベースシステムについては、当初予定していた「地名の検索」「公衆トイレの使用可能時間帯や使用可能期間、売店の有無などの絞込み検索」「宿泊施設の地域別の検索」などを抽出できるようにしました。「地名検索」は地図を見て、場所を把握しながら検索できるようにし、「公衆トイレ検索」に関しては場所や時間帯、期間などを指定して検索できることですぐ使用可能なトイレなどをわかるようにし、「宿泊施設検索」は、宿泊を希望している地域にある施設を検索する際に便利なものにしました。
残された課題としては以下の点が挙げられます。所在地やアクセス案内だけではなく、その施設やトイレの場所の詳細(地図)を画像として表示することで、より明確に認識するための情報を提供できたのではないかと思います。また、本来であれば、Web上でシステムを動けるようにし、実際に閲覧できるようにし、利用してもらってその意見を反映させたかったのですが、予定していたよりも調査に時間をとられてしまったことと、ActiveXを使用することで予想以上の容量を要したため、システムが不安定になり、研究が思うように進まず実現できなかったことが反省点として残りました。
車イスであることを気にせず旅行を楽しめることが容易になるよういろいろな企業が動き出しています。全日空では車イスのまま搭乗口へ行くことが可能な新リフト車の導入を平成13年11月から開始しました。一方、オムロン(本社・京都)とオムロン北海道(札幌)は13年12月27日、障害者インターナショナル世界会議札幌大会に向け、携帯情報端末で車イス対応のトイレやレストランなどの情報を検索できるソフトを開発しました。情報は宿泊施設、飲食店、道案内などの項目に分かれ、障害の程度、介助者の人数などのデータを入力すると、それに応じて利用できる札幌市内のホテルやレストランなどが表示されます。また、身障者用トイレの位置や、車イスでJR札幌駅から時計台、道庁などへ行ける道順も示されます。現在は同大会組織委を通じて依頼された道内の障害者らが使い勝手を試しており、その声を生かして改良しているそうです。<北海道新聞13年12月28日>衛星利用測位システムによる現在位置の表示や、利用者側からの情報更新を可能にすることなども検討しているそうです。こうしたシステムが開発され、身障者の方の段差やトイレのことなどの心配は減り、心理的負担も軽減されるでしょう。
今回、検索システムをこうして作成しましたが、このようなシステムを利用すると便利であろうと思う反面、車イスでも泊まれるホテル、トイレを探す必要など全くない国、世界中の車イスを利用する方々が快適に過ごせる国に日本がなることを願います。