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第一章 序論

普段、何気なく目にしている色彩は知らず知らずのうちに、私たちの感情という重要な精神作用に多大な影響を与えている。そして心理作用を応用し、ある時は安心感を、ある時は緊張感を与え意欲を高める空間、環境作りが今、関心を集めている。その一例として私たちが怪我をしたり、病気になった時、唯一の頼りとなる病院はやむをえず行くという側面があるのでそれだけ親しみにくいものである。それにもまして、病院のあの白くて、暗く、冷たい無味乾燥な雰囲気ではただでさえ神経質になっているのに、この先されるであろう病院での様々な検査や治療に気を回し想像をたくましくしてしまう。そのような所で患者が安心してくつろげ、回復への意欲を高めることができ、職員はやさしい気持ちを忘れずに働く事ができるであろうか。また、科によって患者の症状が違うのだから治療に役立つ色でコーディネートすべきなのではないか。色の力で環境も気持ちも変わるし、人間関係にも影響を及ぼすのなら病院でもっと応用するべき知識だと思い、病院の色彩調節について調べた。

日本の病院は、壁やインテリアなどソフト面の充実より機材などの設備投資に重きをおいて心理ケアの面が遅れているのが現状である。現在、色彩心理学に基づいた病院作りが行われているが、患者が求めている物と一致しているのか。また、最近ではナースウエアは色とりどりになり、病院内の内装も変えていこうとさまざまなことが行われている。ある公立病院では、オペ室までの長い廊下が患者に不安を与えるとして壁に直接、花などの絵を書いて暗い廊下のイメージを改善している。このような試みがどれくらい広がっていて、どんな影響があるか実態を知るには看護婦、患者の生の声を知ることが必要であると考えた。そこで本論文では、患者、看護婦を対象に独自で作成した病院の色彩アンケート調査を基に病院の色彩調節の現状、意識度、改善点、色の効果と影響を確認し、色彩療法の文献と照らし合わせながら理想的な病院の色彩を明らかにすることにした。

以下、第二章ではアンケート調査の実施方法について説明し、第三章でアンケートの分析結果をまとめる。続いて第四章で結果と今後の課題をまとめる。